アホ社長のブログ

離島採集記録13~鹿児島県奄美大島。

平成22年8月20日~8月27日、鹿児島県奄美大島。

8日間分の採集旅行日記です。これから「離島採集旅行」 に行く方は参考にでもして下さい。

今回は9年振り2度目の「奄美大島採集旅行」へ私(KOBA)と弟の蛇メタの2人で行く事になった。いつもより約40日は遅い採集旅行である。この遥かなる「奄美大島」は、クサリヘビ科の毒蛇(出血毒)ハブ(本ハブ)の生息地として徳之島や沖縄諸島などと共に有名である。この毒蛇ハブが存在するため自然が残されて来た島でもある。そのためか、今回も沢山の生物に出会う事ができた。前回は島の大きさとS字カーブ等の連続で、運転や時間に関しては嫌になる程思い知らされた。前回(7月)、発生時期ではなく、採集不可だった貴重種アマミミヤマクワガタ(奄美大島固有種)をゲットするための決行であった(種属名は最初のみ和名フルネームで2回目以降から短縮和名で登場)。プレッシャーはあるが、長年の地道な経験を考えれば十分採集は可能であると考えていた。今年も過酷な「地獄の修行」の開始だ。

8月20日(金) 芽室→帯広空港→東京国際(羽田)空港→鹿児島空港 →奄美空港→レンタカー屋→郷土料理店(夕食)→奄美大島瀬戸内町・某ホテル。2日連続夜の「勉強会(団体は別々)」があり、前日(19日・木)に関しては講師(タイトル「建築に関る福祉のあれこれ(主に住環境関係)」)も兼ねており、その後「懇親会(2次会含む)」で飲酒して深夜0時過ぎの帰宅となった。帰宅後、旅行荷物の最終チェック等をしてから睡眠となった。睡眠不足と2日分の疲れが残ったまま朝8時半に車で自宅を出発した。何とか順調に行程は進み、予約済のレンタカーを借り、夕食(郷土料理「鶏飯(けいはん)」)を取り、宿泊先の奄美大島瀬戸内町の某ホテルへ向かう(前回とは違うホテルに宿泊)。宿泊ホテルへ送付しておいた採集用具や果実トラップ等をレンタカーに積込み、21時頃に有名産地へミヤマを狙うため「ルッキング採集」に出発した。このクワガタは完全夜行性で、余り長い期間(約1ヶ月間)は採れず、ある程度標高があり、漆黒の闇の開けた場所の電柱や樹木の高い位置に付いていることが多い。採集できるのは♂ばかりで、♀はレアで♂の約1/10である。活動は日没直後から始まり、採集用具としては車(ひたすら電柱を車窓から見て探す)の他、ビームライト懐中電灯、虫取り網が必要である。マルバネクワガタの車を流してでの路上「ルッキング採集」と似ている。週末のせいか、多くの採集者がこの貴重なクワガタを狙って林道奥地等で採集争いをしている。殆どがレンタカーでのよそ者採集者達である。早い者勝ちなので、遅いと諦めて直ぐに違う有名産地へ向かう者も多く、数時間掛かる有名産地の林道奥地でもまた同じ採集者達と遭遇するという凄まじい状況である。ここでは友人Mに頼まれたサソリモドキを採集した。約6時間車で移動しながら頑張ったがミヤマはボーズであった(悲)。スコールのような雨が降って来たのでホテルへ帰還する事にした。途中の林道では特別天然記念物のアマミノクロウサギ、凶暴だが無毒蛇のアカマタ等に遭遇した。自販機等の灯りには雑虫すらおらず、爬虫類のホオグロヤモリが少々付いている状況だ。高湿度のため蒸暑い(平均32~35℃)のだが南西諸島が秋に突入したと感じた。9年前には無かったが、昨年、徳之島で利用したのと同系列の24時間営業コンビニが5件程あり、毎日弁当等で世話になった。この日のホテル帰還は深夜3時頃であった。

8月21日(土) 午前中は晴れていたが午後からは雨になった。朝10時半にホテルを出発し、友人Kに頼まれたスジブトヒラタクワガタを採るため、山頂にある林道脇の樹木(大木)に焼酎付果実トラップ (1つのトラップにバナナ3本使用)を根元等に仕掛けた。最終的にこの付近で17ヶ所(全て高標高)に果実トラップを仕掛た。20時以降の「ルッキング採集」では雨が一時的に止んだ23時半過ぎに有名産地林道の電柱でやっと小サイズのミヤマ♂2をゲットした(祝)。どこの離島でもそうだったが、初めて発見した野生のクワガタの感動は忘れる事はない。今回は採集用具として長い釣竿をアレンジした物を虫取り網として使用した。これはヒメオオクワガタの「樹液採集」にも使用可能である。この日も前日以上に採集者達が林道奥地にて夜間の「ルッキング採集」で遭遇した。雨の中、投光器を車に取り付けて、同所の公園駐車場でライトトラップによる「灯火採集」をやっている採集者達もいた。バミューダパンツにサンダル(私達は原則マリンブーツ)で毒蛇ハブの危険地帯へ懐中電灯を照らしながら平然と夜間の林に入って行く若者もいた。クワガタ採集者はヘンな奴が多い(笑)。日中は爬虫類のリュウキュウアオヘビ、夜間はアカマタと路上で何度も遭遇した。この日のホテル帰還は深夜1時過ぎであった。

8月22日(日) 朝10時半にホテルを出発して、ホテル近くの「海の駅(フェリーターミナル)」で隣島である「加計呂麻島」への渡航予約(車用)に行った。日中は爬虫類のバーバートカゲ、ヘリグロヒメトカゲ、アオカナヘビを結構発見したが素早くて捕獲できなかった...多分ヤル気の問題だろうと思う。「トラップ採集」ではスジブト♂♀、アマミコカブトムシ♂♀が採れ始めた。果実トラップには他の生物として、カマドウマ(大)、サソリモドキ、大ゲジ、オオムカデ、オオナメクジ等がほぼ付いている。それにしても甲虫がいない。8月という採集時期は目的のクワガタ等がないのなら避けた方が良いと思う。ちなみに、毎夜の「トラップ採集」は毒蛇ハブ遭遇の恐怖に耐えながら、ヘッドライト、ビームライト、ランタン、武器等の重装備で仕掛けた果実トラップを見て廻った。夜間の林道では鳥類のリュウキュウコノハズク、アマミヤマシギの他、イノシシ等に遭遇した。この日のホテル帰還は深夜1時過ぎであった。

8月23日(月) 朝7時半にホテルを出発した。「海の家」で渡航手続を済ませ、8時台のフェリーで「加計呂麻島」へレンタカーと共に渡る。私達には14島目となる離島である。天気も良く35℃の気温である。フェリーにて約20~25分(乗り場で所要時間が相違)で到着する。この日は完全観光日と決めていたはずなのだが...この島はガソリンスタンドや民宿はあるのだが、主要幹線通には食事をする所もスーパーも無い。マリンスポーツと景観を楽しむには素晴らしいと思うが。廃墟(戦跡)を始め、観光地らしき所には全部という程行ったのだが、18時台で帰る最終フェリーまで時間が余り過ぎてしまった。ということで、手頃な林道を物色し、蛇メタは爬虫類のオキナワキノボリトカゲ(加計呂麻島産)を採集し、私は倒木を「材割採集」にてアマミヒラタクワガタ(加計呂麻島産)の幼虫を採集した。奄美大島への帰還後は夜間の「ルッキング採集」で大サイズのミヤマ♂を発見したが、虫取り網を用意している間に草むらに落下してしまい断念した。このクワガタは光りを嫌うので、何度も懐中電灯を当てたりしていると落下したり、もっと高い所へと登ってしまうので注意が必要だ。途中でまたもや雨振りとなったので「トラップ採集」に切替え、果実トラップでスジブト♂♀、コカブト♂♀を採集した。この日のホテル帰還は23時半過ぎであった。

8月24日(火) 朝8時に瀬戸内町の某ホテルを出発し、今度は奄美市名瀬の某ホテルへ向かう。朝から雨降りで憂鬱な気分である。仕掛けてあるトラップを一旦全て回収し、発砲スチロールの箱に保管する。バナナの腐敗臭が酷いため、レンタカーに臭いが付かないように慎重に回収保管し、別の有名産地へ回収した果実トラップを仕掛けに行った。ここは9年前にも採集に来た場所でスジブト、ヒラタ、アマミコクワガタを採集した場所である。当時を回想しながら同じ様な場所にトラップを仕掛けた。後2つの場所にも行ったが、どちらも土砂崩れのため林道入口が閉鎖されていたため、トラップを仕掛ける事ができなかった。前回はアマミネブトクワガタを採集した場所である。期待していただけに残念である。代替の新規開拓地では夕方、レンタカーに乗った採集者(根暗そうなおっさん)に遭遇した。ここも有名産地だったようだ。夕方以外は雨降りだったが、朝に回収した果実トラップではスジブト♂♀が採集できた。毎夜雨が降るためミヤマの「ルッキング採集」ができない日が続いた。一応、前回の「灯火採集」をした場所(ヒラタ、アマミノコギリを採集)に行ってみるが、甲虫らしき生物は何もいなかった(悲)。他の場所も同じである。ノコギリに関しては1ヶ月前に発生は終わっているし、カミキリ類も同様である。この日のホテル帰還は23時過ぎであった。

8月25日(水) 朝7時にホテルを出発し採集に向かう。途中でやっばり雨が降ったが、「奄美大島」の滞在中ではこの日が1番天気が良くて、最初に「トラップ採集」に向かったのだが...早朝、林道奥地で前日遭遇した上記のレンタカーが私達のトラップを仕掛けた所から逃げ去るように消えて行った。もしやと思い進んでみるとアマミシカクワガタ狙いで樹木高めに仕掛けたトラップ2つが近くに無造作に捨てられていた。果実トラップのクワガタを盗られるのは仕方ないとしても採集マナーは守って欲しいものである。スジブト狙いの地面置きトラップ2つは隠して仕掛けてあるため発見されずに助かった。その後は翌日の天気予報がまたもや雨なので、東シナ海側の林道でルイスツノヒョウタンクワガタ狙いで「材割採集」をする事にした。蒸暑くて、さらに吸血生物に顔やら手をやられ倒れそうな状況である。夏の「材割採集」は自殺行為である。直ぐに熱中症になると思う。結果はヒラタの幼虫と不明幼虫を採集した。夜間は久し振りに雨が無いため急いで「ルッキング採集」に向かう。採集者の考える事は皆同じで、またもや強奪競争である(笑)。「トラップ採集」では、スジブト♂とコカブト♂♀が採れた。深夜1時頃に林道奥地で遭遇した地元の卸売りキャッチャーから声を掛けられた。8月1日から毎晩19~朝4時までミヤマを採集し、累計で♂400♀40採ったと言っていた。標本等でショップへ卸していると言っていた。今年は発生量が少ないと嘆いていた。名刺交換と情報交換を済ませ、それぞれ別地で採集を続行した。深夜2時頃に何とか中サイズのミヤマ♂1を採集した(嬉)。この日のホテル帰還は深夜3時過ぎであった。

8月26日(木) 午前中は曇りの天気であったが、午後から土砂降り(雷雨)となった。夜はゲリラ豪雨のように大量に降り続けた。そのためこの日は前日の計画通りに10時頃から観光地、御土産店、有名郷土料理店(昼食・鶏飯ラーメン等)、ハブセンター、ホテル展望ラウンジ(夕食・チキンスープカリー等)等を廻った。翌朝帰宅するため、夜間はゲリラ豪雨の中、果実トラップの回収に行った。2人共全身ずぶ濡れである。こんな状況でもヒラタ♂、スジブト♂、コカブト♂♀が採集できた。週間天気予報は南西諸島では全くと言って良い程×であり、前日でも翌日の天気が当たるかどうかであった。毒蛇ハブさえいなければ雨でも採集は可能であるが...まだ「メガンテ」の呪文は私には無理だ(笑)。この日は22時半過ぎにホテルへ帰還し、帰宅の準備等をした。 

8月27日(金) 奄美市名瀬・某ホテル→→レンタカー屋→奄美空港→鹿児島空港→東京国際(羽田)空港(昼食・ジャージャー麺)→帯広空港→某コンビニ(夕食用弁当購入)→芽室。朝8時半にホテルロビーで採集用具等を宅配便(着払い)送付の手続を済ませチェックアウトし、レンタカーの返却に向かう。滞在約1週間の合計走行距離は約1950kmだった(アホっす!)。このレンタカー営業所では最高記録だと女性担当者から言われた。朝から大雨で飛行機が欠航になるのではと心配したが、雨は小降りとなった。飛行機内ではほぼ寝ていた。飛行機の乗継時に起きなければならないのだが、夢か現実か瞬間的に分らなくなっていた(笑)。自宅到着は21時頃だった。これで今年の「地獄の修行」 は終った。

9年前は4泊5日の採集旅行であったが、殆どのクワガタ等が夜行性のため日中の「樹液採集」が全くと言う程不可能であり、朽木も同様で前回は毒蛇のハブ、ヒメハブ、ヒャン等の怖さに「材割採集」が少ししかできなかった。それでも前回は「トラップ採集」や「灯火採集」でスジブト、ヒラタ、コクワ、ノコギリ、コカブトの5種類をゲットした。今回はミヤマ1種を追加することができた。また何時かこの島に行く事があるかもしれない。その時は残りの種類 (シカ、ルイス、マメ、タイワンカブト)をゲットしたいと思う。今回は最終的に5種類合計42頭の採集結果(一般人だとボーズになる可能性大)であった。私達”アホ兄弟”は、自ら採ったという達成感が欲しいのである。最近はクワガタ採集という本来の楽しさより達成感(重圧的)に比重が置かれ、精神的にも時間的にも辛くなっている。来年(2011年)の決行は現時点では未定である。そうそう、鹿児島空港の待合室には女優の中○美紀がいました。

帰宅後は直ぐに仕事復帰し、翌日(28日・土・事務所定休日)も朝から仕事で21時以降は某新規開拓地へ蛇メタと「灯火採集」に行った。結果は短時間で十勝産カブトムシ♂2♀11、ノコギリ♂1♀3であった。今年の天候は全国的におかしいと思う。 

採集結果(ルッキング・果実トラップ・朽木材割)→アマミミヤマクワガタ♂3、スジブトヒラタクワガタ♂12♀7、アマミヒラタクワガタ♂1幼虫1、アマミコクワガタ幼虫♂1、アマミコカブトムシ♂♀7幼虫1、不明幼虫9、雑虫類(カナブン、コガネムシ、コメツキ、ゴミムシ、ホタル、カメムシ、サソリモドキ等)、爬虫類 (キノボリトカゲ×1)。

続きは次回に。

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