アホ社長のブログ

離島採集記録Ⅹ~鹿児島県屋久島。

平成19年7月12日~7月17日、鹿児島県屋久島。

今回は「屋久島採集旅行」へ私(KOBA)と弟の蛇メタの2人で行く事になった。人口約14000人で島一周が約130kmという比較的大きな島であり、「世界登録遺産」及び「霧島屋久国立公園」でもあり、観光客や登山客等が多い有名な離島である。「屋久杉」が有名で中でも「縄文杉」のような遺産が島の各地(中心付近)に点在している。アニメ映画の「もののけ姫」の舞台設定になったのも分かる気がする。今回のチケット・ホテル等の手配は出発1週間前の天気予報を見てから知人の某旅行代理店社長から購入したのだが...まさか直前になって台風が上陸予定だとは。参った!前日には宿泊予定先の某ホテルから「本当に渡航するのですか?」との確認の電話があった。殆どと言うより、全部の観光客・登山客等が続々と延期やキャンセル等をしているようだ。せっかくの三連休(14~16日)を台風で台無しにする必要は無いと思う。しかし、観光や登山で目的地へ行くのではないから私達”アホ兄弟”の場合には何の問題も無いのだ。経験上、現地に到着すれば後は何とでもなるという思考であった(アホっす!)。

7月12日(木) 芽室→とかち帯広空港→東京国際(羽田)空港→鹿児島空港→屋久島空港→レンタカー屋→屋久島安房・某ビジネスホテル。約45分遅れの18時頃に奇跡的に「屋久島空港」に何とか到着。台風前後の5日間で「屋久島空港」へ飛んだ飛行機は私達” アホ兄弟”の乗った便のみだったようだ。ラッキーだったのか?アンラッキーだったのか?レンタカー屋では食糧の確保について助言された。物資も全然入って来ていない状態との事だった。正に孤島の緊急状態である。宿泊するホテルへ到着後、近くのスーパーでインスタントカップ麺や菓子類、飲料水等を数日分買込む事にした。確かにスーパーの品揃えは寂しい限りであった。宿泊するホテルは平成15年に開業したホテルで24時間自由に出入り可能な快適な条件であった。台風によるキャンセルや渡航不可等のせいで私達2人しか宿泊客がいなかった。ロビー等は貸切状態であった。これはとても嬉しい状況であった。先にホテルに送っていた荷物(「バナナ・トラップ」やマリンブーツ、懐中電灯、採集用具等)を確認して早速灯火(自販機含む)に「クワガタ・カブトムシ」採集へ行く。適当なポイントを発見し、蛇メタが最初にホンドヒラタ♂とコカブト♂、次に私がノコギリ♀ (今後亜種になる可能性あり)を採集した。その後は私がネブト♂、ヤクシマコクワ♂、蛇メタがノコギリ♂、カブト♀ (今後亜種になる可能性あり)を追加採集した。一緒に昆虫仲間達に頼まれていた雑虫類等を「灯火採集」した。地元のヤンキーらしき同業者と「灯火採集」で遭遇した。私は採集中に頭部を建物のダクトにぶつけて出血した(昨年は額と手足が怪我)...帽子は被っていたのだが(泣)。早くも林道付近で有名な「ヤクシカ」の群れ(親子か?)に遭遇した。こいつらはその後大量に遭遇する事になる。場所によっては農作物を荒らす害獣である。鳥獣保護も時と場合に応じるべきである。灯火では「カマキリ」や「ゴキブリ」を相当見た気がする。この日は計14頭の収穫であった。

7月13日(金) 「台風4号」が上陸する前に朝から「焼酎漬バナナ・トラップ」を島各地10ヶ所の適当なポイントへ仕掛けに行く。登山で有名な「白谷雲水峡」や「ヤクスギランド」へ向かうが台風接近のために閉まっていた(悲)。付近のビデオ撮影をして戻る事にした。某主要道路では「ヤクザル」の群れに遭遇した。「ニホンザル」の亜種であり小さくて以外とおとなしい?感じがした。というより、私達の風貌が怖いのでしょう(笑)。その後は雨が降る前に某有名林道の登山口付近で朽木の「材割採集」をする事にした。「ゴキブリ」や「シロアリ」がとても多く、中には「サワガニ」も入っている朽木もある。そんな中、ヤクシマコクワ新成虫♀・同幼虫2頭を採集した時点でスコールのような大雨になったので止める事にした。雨が止みそうもないので一度ホテルへ帰る事にしたが途中で放置された「廃ミカン畑」らしきモノを発見した。ここのミカンの木の樹液や洞等でコクワ♂♀、ノコギリ♂♀、カブト♀を発見した。大雨でも樹木に付いているとは大した奴等である。午後からは大型で強い「台風4号」が接近したため雨と共に風が凄くなって来た。7月の台風では戦後の観測史上最大の台風のようだ。ホテルに帰宅後は覚悟を決めて↑に夜の「樹液採集」へ行く事にした。暴風雨の中での採集はホントに超キツイ。絶えずバケツの水一杯を頭からザーッとかけられている感じである。全身ずぶ濡れの上、暗闇の中で前も足元も余り見えない状況である。懐中電灯ぐらいでは危険過ぎる。何とか頑張ってノコギリ♂♀、カブト♀、雑虫類等を採集した。基本的に雨降りでも昆虫達は根元付近や洞の中で待機しているので採集は可能である。この日は計29頭の収穫であった。

7月14日(土) 朝から「台風4号」が直撃(大汗)。暴風雨の影響(音響が凄い!)で早く目覚めてしまった。見た目も凄い状況である。2003年に家族・親戚で行った時に遭遇した「沖縄本島採集旅行」より凄い。屋久島は風速45mの暴風雨だったようだ。宿泊ホテルの室内窓を開けて「台風4号」通過の様子をビデオ撮影する事にした。そのうちテレビ放送も映らなくなった。ホテルのオーナーが私達を可哀相だと思ったのか?朝食(白米)を2人分無料で用意してくれた。観光や登山客等なら確かに御愁傷様の状態である。しかし、私達は10時頃にホテルのオーナーに出撃する旨を伝えた。余りにもビックリしていた。多分、「こいつらは本当にアホだ!」と思ったに違いない。山・川・海には絶対に近付かないように警告を受けた。確かに宿泊客が事故等で死人にでもなったら洒落にはならないだろうなぁ。レンタカーで街を走行するもゴーストタウンのようになっており、地区によっては停電中である。そのため信号機も動いていない。道路上は看板・標識や樹木等が倒れていて走行不可な所も多々ある。こんな中、「樹液・トラップ採集」等を街の中のポイントで行う事にした。ホンドヒラタ♂、ヤクシマコクワ♂♀、ノコギリ♂♀を採集した後、13時頃にホテルへ戻り夜まで取敢えず少々仮眠をする事になった。夜の灯火では両生類である「アマガエル」を建物の壁で初発見した。深夜にホテルへ帰宅後は私の衣服に悪名高い「ヤマビル」がくっ付いているのを発見したが血は吸われていなかった。良かった。私達の採集史上では最悪の一日であった。全ての商店や観光施設等は閉鎖されて何処にも暇つぶし(観光)に行けなかった。この日は計12頭の収穫であった。

7月15日(日) 最悪の「台風4号」が通過して朝9時頃から良い天気になり温度・湿度共に上昇して来た。今のうちに13日(金)の「材割採集」の続きをする事にしようと決めて某有名林道へレンタカーで向かう事にした。走行していて驚きの連続である。台風のツメ跡で土砂崩れや道路陥没等で有名な観光地等へ向かう主要道路は全面通行止である。そのため重装備(帽子・首タオル・長袖・長ズボン・マリンブーツ・水筒・ナタ・携帯ノコギリ・携帯スコップ・採集用具等)で往復6時間の登山(約11km)をする事になった(大汗)。悪路の上にジャングルである。低標高の「材割採集」ではヤクシマコクワ幼虫が採れた。標高450m辺りの朽木からはルイスツノヒョウタンの新成虫が採集出来たが何故か後が続かない。参考文献を読むと屋久島のルイスツノヒョウタンは数が少ないらしい。先へ進むと標高500m地点でまたまた通行不可になった。先にはどんな危険があるのか検討もつかなかったが、もう疲れ過ぎてお互いに話をするのもシンドイ状態である(苦笑)。手の豆も破れて痛いし仕方なく来た道を戻る事に決めた。ここでは標高500m位から貴重種のヤクシマスジが、標高600m位からの沢沿いの朽木からヤクシマオニが「材割採集」で採集可能のようだ。しかし、この標高500m以上はほぼ「世界登録遺産」及び「国立公園」の範囲内となっており採集禁止である。今回はこの時点で↑の2種族の採集を諦めた。登山から開放された後は一度ホテルへ戻り、20時過ぎに某ポイントへ「灯火・樹液・トラップ採集」に行く事にした。温度が上昇したためか「焼酎漬バナナ・トラップ」の腐朽が更に進み、良いポイントではタコ取れ状態になって来た。勿論駄目なポイントでは1頭も採れない。某ポイントの1ヶ所では「ヤクシカ」か「ヤクザル」にトラップを盗られてしまったようだ。奴等に発見されないように注意して仕掛けたのだが。残念!日中は地元の同業者らしき中年に某樹液ポイントで遭遇した。夜には天気が良かったためか爬虫類である屋久島特産の「ヤクヤモリ」を灯火で初発見した(良サイズで感動!)。しかし,高い位置の壁に付いていたため仕方なくデジカメの望遠撮影で我慢となった。この日は激疲れだったけど計61頭の収穫であった。

7月16日(月・海の日) 午前中は良い天気だったので気持ち良く「樹液・トラップ・材割採集」が出来た。「材割採集」では新ポイントでホンドヒラタ幼虫が採集出来た。しかし、夕方からとんでもない土砂降りになった。猛スコールのようだ。参った!この島で傘は余り役に立たない。レインコートが必須だが不所持である(悲)。採集はこの日で最後となるために無理をしてでも出撃した。「焼酎漬バナナ・トラップ」が場所によって非常に良いため天候が悪くても助けられた。全て雨が直接当たらないように根元に仕掛けて、その上には日除けになるように草木をかけておくと日中でも夜行性の「クワガタ・カブトムシ」が採集可能である。更に近くで放置された「栗林」を偶然発見した。そこの数本の木が樹液を大量に出していた。凄い数のスズメバチ、カナブン、蝶等が餌場を陣取っている。「毒吸器(ポイズン・リムーバー)」を所持している安心感があったのか?スズメバチ飛来の中で平気で甲虫類を採集していた。スズメバチ達も餌に夢中で私達の事が眼中に無いようだ。1時間後、一度見たトラップの場所へ戻ってみると「焼酎漬バナナ・トラップ」2ケが↑の奴等に盗られていた(怒)。採集はしなかったがこの日は「ニホントカゲ」らしき爬虫類や「カナヘビ」らしき爬虫類も発見出来た。最終日は大雨の中、具合悪くなる程頑張ったためか?この日は計92頭の収穫であった。

7月17日(火) 屋久島・安房某ビジネスホテル→レンタカー屋→屋久島空港→鹿児島空港→東京国際(羽田)空港→とかち帯広空港→帯広市内某書店→芽室。朝8時にホテルを出発して帰宅の途に。屋久島での睡眠時間は毎日3~4時間であった。食事も白米は物資不足で5泊6日で2食のみであった。それでも「クワガタ・カブトムシ生体」の数量は昨年(2006年)を上回る過去最高の208頭の採集数となった。過去最悪の天候でありそれに伴う苦難な採集であったが充分に満足出来た採集旅行であった。心残りは確かにあるが何時かまたリベンジする時もあるかもしれない。天気が良ければ2日間程、隣島の「口永良部島」へフェリーでクチノエラブノコギリを採集に行く予定だったが今回の悪天候では所詮無理な話である。毎度の事だが今回採集した「クワガタ・カブトムシ生体」はビッグサイズ♂の種類10頭程度(標本用)を手元に残して他は全て信頼の出来るブリーダーの仲間達の御土産になる予定である。喜んで貰えればそれだけで私達は有難いのである。私達” アホ兄弟”は何かの足跡が欲しくて毎年「離島採集旅行」へ行っている。必然的に楽しさより義務的な苦しさ(修行)を選択しているのである。苦しさの後の達成感が「勲章」みたいなものなのである。暑い時に飲む運動後の炭酸飲料水のようだ。今回の離島は爬虫類に関してはハッキリ言って全然面白くない離島である。蛇メタからは早くも来年(2008年)の希望する離島候補が出ている。前向きに検討するつもりである。今回のレベル・アップは何ポイントだろう?結構2人共凄い呪文や技を憶えた気がするけど(笑)。「サバイバル・ゲーム」のような採集の日々でしたわぁ。そうそう、車内での「iPodnano+FMトランスミッター」が大活躍でした。

採集結果(灯火・樹液・果実トラップ・朽木材割)→ホンドヒラタ♂11♀3幼虫4、ヤクシマコクワ♂21♀20幼虫10、ノコギリ♂67♀37、ネブト♂1♀1、ルイスツノヒョウタン♂♀5、カブト♂13♀12、コカブト♂♀1、不明幼虫2、その他に雑虫類(カナブン、コガネムシ、センチコガネ、タマムシ、カミキリ、マイマイカブリ、キマワリ、ゴミムシ、カメムシ、オオスズメバチ等)。

続きは次回に。

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