アホ社長のブログ

離島採集記録12~鹿児島県徳之島。

平成21年7月16日~7月21日、鹿児島県徳之島。

6日間分の採集旅行日記です。これから「離島採集旅行」 に行く方は参考にでもして下さい。

今回は9年振り2度目の「徳之島採集旅行」へ私(KOBA)と弟の蛇メタの2人で行く事になった。この遥かなる「徳之島」は、クサリヘビ科の毒蛇(出血毒)ハブ(本ハブ)の生息地として奄美大島や沖縄諸島などと共に有名である。そのため自然が残されている島でもある。そのためか、沢山の生物に出会う事ができた。しかし、道路の案内標識はメイン通り等にしか無く、林道や細道に突入すると何処に通じているのか分らない不親切な一面もある。 前回は、レンタカー屋で頂いた概略観光マップと持参した道路マップしかなくて(当時は地元書店等でも詳細なマップは売っていなかった)、厳しい現実を嫌になる程思い知らされた。今回はその経験を踏まえてのリベンジである。前回、採集を断念した貴重種のヤマトサビクワガタ(徳之島固有種)、トクノシマネブトクワガタ、アマミコカブト(徳之島産)の3種を採集するための決行であった(種属名は最初のみ和名フルネームで2回目以降から短縮和名で登場)。プレッシャーはあるが、難易度が高くても長年の地道な経験を考えれば十分採集は可能であると考えていた。今年も過酷な「地獄の修行」の開始だ。

7月16日(木) 芽室→千歳某駐車場→空港直行バス→新千歳空港→東京国際(羽田)空港→鹿児島空港 →徳之島空港→レンタカー屋→徳之島町亀津・某ホテル。深夜2時半頃に車で自宅を出発し、順調に行程は進んだ。鹿児島では雨が降っていたが、徳之島は快晴であり蒸暑い。レンタカーで宿泊先の徳之島町亀津の某ホテルへ向かう(前回とは違うホテルに宿泊)。宿泊ホテルへ送付しておいた採集用具や果実トラップ等をレンタカーに積込み、17時頃に採集に出発した。日没までの間、スジブトヒラタクワガタ及び数の少ないリュウキュウ(トクノシマ)コクワガタを狙うため、山頂にある林道脇の樹木(大木)に焼酎付果実トラップ (1つのトラップにバナナ3本使用)を根元等に仕掛けた。この付近では3ヶ所に果実トラップを設置した。その後は日没を待って「灯火採集」をすることになった。外灯や自販機巡りでトクノシマヒラタクワガタ♂♀、リュウキュウ(トクノシマ)ノコギリクワガタ♂♀、タイワンカブトムシ♀、スジブト♂ (灯火では初採集)、サビ♂(祝~希に灯火に飛来するようだ)等を採集した。夜間の外灯や自販機等の灯りには、爬虫類のホオグロヤモリが付いていた。9年前には無かったが、同系列の24時間営業コンビニが3件あり、毎日弁当等で世話になった。すっかり徳之島は都会化していた。この日のホテル帰還は深夜0時頃であり、計61頭の収穫であった。初日から飛ばし過ぎである(爆)。

7月17日(金) 朝10時前にホテルを出発した。前日の続きで残りの果実トラップを色々な場所へ設置に行く。最終的に10ヶ所の設置である。前日に仕掛けた果実トラップを見に行く事にした。トラップにはヒラタやノコギリが付いていた。日中の「ルッキング採集」では、路上でコカブト(祝)やノコギリ♀を発見した。他には爬虫類のキノボリトカゲ、バーバートカゲ、ヘリグロヒメトカゲ等も発見した。「灯火採集」では夜行性のオビトカゲモドキ(徳之島固有種)を某公園内で発見した。過去の採集旅行ではクロイワトカゲモドキ(沖縄県本島)、クメトカゲモドキ(沖縄県久米島)も発見しているが、この種族の共通項としては、ライトを当てられると擬態したフリをして動きが止まるので意外と楽に捕獲可能である。夜間の「トラップ採集」では必ずと言って良いほど、オオムカデ、オオゲジ、カマドウマ、コオロギ、場所によってはオカヤドカリ、マイマイや大型のナメクジも付いていた。その周辺には大概、ヤモリ、ヒメトカゲ、サソリモドキ等が雑虫類を狙って集まっていた。特に毒のあるオオムカデには注意が必要であり、危険なので手袋を使用して果実トラップを確認していた。夜の「トラップ採集」ではヒラタ♂、ノコギリ♀が採れ、「灯火採集」ではヒラタ♂♀、コクワ♀(灯火では初採集)、ノコギリ♂♀が採れた。今回、「灯火採集」で初の地元採集軍団とニアミスした。この日のホテル帰還は深夜0時過ぎであり、計40頭の収穫であった。

7月18日(土) 朝9時半にホテルを出発して採集に行く。途中で蛇メタは、爬虫類用に街にあるデパート系スーパーでプラケース等を購入した。この日から地元の小学校等は「夏休み」に突入したようだ。安全な「灯火採集」では劇的に親子連れのライバルが増えた(笑)。「トラップ採集」ではスジブト♂、ヒラタ♂♀、コクワ♀が採れ、「灯火採集」ではヒラタ♂♀、ノコギリ♂♀、タイワンカブト♂が採れた。採集者が増えて来たため今後の事を考え、眠さに堪えて外灯や自販機等を巡った。前日に続き、夜間の某公園内ではオビトカゲモドキを発見した。ちなみに、毎夜の「トラップ採集」は毒蛇ハブ遭遇の恐怖に耐えながら、ヘッドライト、ビームライト、ランタン、武器等の重装備で森林入口付近等に仕掛けたトラップを見て廻った。この日のホテル帰還は深夜2時過ぎであり、計56頭の収穫であった。

7月19日(日) 朝9時にホテルを出発した。日中、「樹液採集」で唯一のノコギリ♂がゲット出来た。今回の目標の1つであるネブトが「トラップ採集」や「樹液採集」、「灯火採集」等で採れないので、この日から決死の覚悟で原生林内で「材割(朽木)採集」に挑戦する事にした。猛暑の中、最新の注意をしながら汗だくになってナタ等で朽木を割るが、出て来るのは毎度のゴキブリやアリ(カミキリ成虫も出たが)等であった(悲)。夕方以降になるとハブの活動時間となり、危ないため早めに切上げた。「トラップ採集」ではスジブト♂、ヒラタ♂♀、コクワ♂♀、ノコギリ♂♀、コカブトが採れた。夜間、森林入口付近に仕掛けた果実トラップに手を延ばすと、コブラ科の毒蛇(神経毒)ハイが果実トラップの裏側に居てビックリであった。事前に図鑑等で勉強していなかったら、綺麗な生物と間違って掴んでしまうかもしれない。危なかった。しかし、性格は大人しくて貴重な蛇であるため、刺激しないようにビデオカメラで撮影する事にした。この事は一番強烈な思い出になったかもしれない。この日のホテル帰還は深夜1時過ぎであり、計53頭の収穫であった。 

7月20日(月・海の日) 朝9時前にホテルを出発した。今度は前日と別の森林内で「材割(朽木)採集」をする事にしたが、前日と同様に散々な結果であった(悲)。疲れ果ててネブトの採集はもう諦めた。午前中、山頂付近の路上でバスキング中の無毒蛇リュウキュウアオヘビを連続3匹発見した。そのままトラップを見に行くと、ショックな事に山頂に仕掛けた果実トラップが全て何者かによって消えていた。カラスや動物類の仕業かもしれないが、連休中にレンタカーに載った同業者らしき者と、行止まりの採集地で深夜に数回遭遇していた。疑いたくは無いが、そこそこの実績ある同業者ならば分る場所に設置してあったのだ。こんな事は慣れているけど残念である。他所の「トラップ採集」ではスジブト♂、ヒラタ♀、コクワ♂、ノコギリ♂♀が採れ、採集者の多い「灯火採集」ではノコギリ♂♀、タイワンカブト♂♀が何とか採れたが、殆ど先に採られている状況であった。日中の「ルッキング採集」ではノコギリ♂♀が某公園内施設で採れた。一番頑張った日なのだが、運も無く、報われない一日であった(激悲)。この日のホテル帰還は翌日の帰宅準備のため23時頃であり、計21頭の収穫であった。

7月21日(火) 徳之島町亀津・某ホテル→トラップ採集→ルッキング採集→レンタカー屋→徳之島空港→鹿児島空港(昼食「ちゃんぽんセット」)→東京国際(羽田)空港→新千歳空港→空港直行バス→千歳某駐車場→某コンビニ(夕食用弁当購入)→芽室。朝9時前にホテルロビーで採集用具等を宅配便(着払い)送付の手続を済ませチェックアウトした。飛行機の出発時間まで、最後の「トラップ採集」をする。果実トラップの残骸を回収しつつ、最後の最後に今回採れていなかったサビ♀やスジブト♀をゲット、他にスジブト♂、ヒラタ♂♀、コクワ♀、ノコギリ♂、コカブトをゲットし、これで今年の 「地獄の修行」 は終った。前日の頑張りを神様が見ていてくれたのかもしれない。嬉しい~感謝感謝です。これで満足して帰宅できるッス。家内に帰宅する事を伝えてレンタカーの返却に向かう。滞在中の合計走行距離は約1200kmだった(アホっす!)。飛行機内では全て寝ていた。飛行機の乗継時に起きなければならないのだが、夢か現実か瞬間的に分らなくなっていた(笑)。相当な疲れが溜まっていたのだと思う。 自宅到着は深夜0時頃だった。この日は計14頭の収穫であった。

9年前は7泊8日の採集旅行であったが、殆どのクワガタ等が夜行性のため日中の「樹液採集」が全くと言う程不可能であり、樹液が出る樹木は安全な所には無い。朽木も同様で、前回は毒蛇のハブ、ヒメハブ、ハイ等の怖さに「材割(朽木)採集」が出来なかった。と言うより想定外であった。それでも前回は「トラップ採集」や「灯火採集」でスジブト、ヒラタ、コクワ、ノコギリ、タイワンカブトの5種類合計104頭をゲットして来た。今回はサビ及びコカブトの2種類を追加採集することができた。また何時かこの島に行く事があるかもしれない。その時は残りの種類 (ネブト、アマミシカ、ルイスツノヒョウタン、マメ)をゲットしたいと思う。今回はリリース分を除いて最終的に7種類合計245頭の採集結果であった。ノコギリの発生がピンポイントな時期であったため、無条件で全部採っていたら300頭以上になってしまう。 毎回採集した中で私の手元に残るのは1割未満(観察・標本用)である。他は信頼できる「クワカブ仲間」や 「昆虫ショップ仲間」等への御土産になるのである。私達”アホ兄弟”は、自ら採ったという達成感が欲しいのである。当然嘘吐き呼ばわりされないように現物証拠、写真撮影、ビデオ撮影等で記録として残している。数量は結果論でしかない。最近は昆虫採集という本来の楽しさより、難易度による達成感(重圧的)に比重が置かれ、精神的にも、時間的にも辛くなっている。そろそろ「離島」から「本土」に照準を合わす必要があると思う。来年(2010年)の決行は現時点では未定である。そうそう、鹿児島空港の待合室には芸人のほっ○ゃんが居ました。屋久島行きの飛行機に乗ったようです。 

採集結果(灯火・樹液・ルッキング・果実トラップ)→ヤマトサビクワガタ♂1♀1、スジブトヒラタクワガタ♂6♀2、トクノシマヒラタクワガタ♂11♀18、トクノシマコクワガタ♂3♀4、トクノシマノコギリクワガタ♂79♀111、コカブトムシ♂♀3、タイワンカブトムシ♂3♀3、雑虫類(タマムシ、カナブン、コガネムシ、カミキリ、ハンミョウ、コメツキ、ゴミムシ、カメムシ、セミ、カマキリ卵、サソリモドキ等)、爬虫類 (トカゲ×2)。

続きは次回に。

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